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特定非営利活動法人おてらおやつクラブの紹介②

2018.09.19
おてらおやつくらぶ

おてらおやつクラブとは

「おてらおやつクラブ」は、お寺にお供えされるさまざまな「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力の下、経済的に困難な状況にあるご家庭へ「おすそわけ」する活動です。活動趣旨に賛同する全国のお寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品をお届けしています。

代表紹介インタビュー

松島 靖朗(まつしま・せいろう)師
1975年生まれ。奈良教区安養寺住職。特定非営利活動法人おてらおやつクラブ代表理事。
早稲田大学商学部卒業後、株式会社NTT データにてインターネット事業、投資育成事業、株式会社アイスタイルにてべンチャー企業経営に従事。教師養成道場を経て2010年総本山知恩院伝宗伝戒道場満行。
総本山知恩院、大本山金戒光明寺、大本山増上寺布教師を拝命。
2016年、第8回浄土宗平和受賞
2017年、第8回奈良人権文化選奨受賞、第6回奈良日賞受賞。
2018年、中外日報社涙骨賞実践部門受賞。

 

活動を始めた当初はこのような全国的な活動になると思っていましたか。

はじめは「とにかくなにかできることをしなければ」「二度と大阪母子餓死事件※のような悲劇を繰り返してはいけない」という思いだけで動き出しました。あとは大切な「おそなえ」をいただいているのに食べきれずにいることもあり、「おさがりをどなたかにおわけできないか?」という私個人の悩みを解決できれば、それで十分という思いもありました。
※大阪母子餓死事件:2013年5月発生。「最後にお腹いっぱい食べさせてあげたかった…ごめんね」という母親のメモが残されていた。これを機に「おてらおやつクラブ」の活動が始まった。

箱いっぱいの心のこもった「おさがり」が、たくさんの笑顔をうみます

どうしてそこから全国へ広めていこうと思われたのでしょうか。

いざ貧困の現場に足を踏み入れてみると自坊での活動だけでは砂漠に一滴の水を垂らすだけのことでしかないと思い知らされたからです。そこで、教区内の寺院への呼びかけからはじめ、HPを立ち上げて貧困問題が身近にあることや、それに対してお寺にできることがあると発信していきました。気がつけば全国800カ寺を超えるお寺にご賛同いただき、全国47都道府県に支援の輪が広がっていました。
2017年には特定非営利活動法人としてNPO 法人化しましたが、貧困問題に関心をもち、支えていただいている多くの方々に感謝しかありません。

代表としての活動と、住職としての法務との両立は大変ではないですか。

私は普段の法務の合間に、できる範囲で社会のために時間を使っているだけです。活動に賛同くださるお寺や、全国で貧困問題解消のために日々支援活動を行っている団体と連携することで、一つのお寺ではできない「大きな力」を生み出すことができていると感じています。
それに、いまや国民全体の課題ともいえる「貧困」を身近な問題として知ることで、「自分も力になりたい」とお檀家さんや地域の人々が支えてくださっています。
おてらおやつクラブは、お寺が今の時代に合わせ、なにか新しいことを行っているように思われるかもしれません。でも、実際のところは仏さまへの「おそなえ」を仏さまからの「おさがり」として頂戴し、必要な方へ宅配便やお参りの途中に立ち寄って「おすそわけ」するだけの活動です。難しい活動でないことは、すでに800カ寺を超えるお寺にご賛同いただいていることが何よりの証拠になるかと思います。

お菓子だけでなくお米も手作業で分けて届けています

おてらおやつクラブを今後どのようにしたいですか。

ご承知の通り、「貧困問題」は一足飛びに解決できるものではなく、まさに長期戦であり、息の長い支援活動が必要です。もしも今後私がいなくなったとしてもこの活動が継続するように、また事務局基盤を強化するためにも、特定非営利法人(NPO法人)化しました。NPO法人になることで、企業と連携した支援活動や、多くの方から寄付をいただきやすくなるなどのメリットもあります。
法人となることで母子家庭のお母さまや、兼業されているお坊さんに雇用を生み出すこともできます。多くの人々が貧困問題に関心を持ち、子どもたちに希望を与えてくれる当事者になっていただきたいです。お寺に期待を持ってくださる世間の方々が増えれば、それがお念仏とのご縁を育んでいく「きっかけ」になっていくと考えています。

おてらおやつクラブを通じ、どのようなことを実現したいですか。

おてらおやつクラブは厳しい審査を経て、公益な活動を行うNPO法人として認証されました。この活動は布教のための活動ではなく、また経済的な利益を追求する活動ではないということが認められたのです。
全国のお寺も同様に公益法人に属する宗教法人です。おてらおやつクラブの活動が多くの人々の目に触れ、また生活に苦しむ人々とお坊さんがともに苦しみを共有しながらその問題の解消に努めていくことで「お寺」や「お坊さん」への期待も大きくなっていけばと考えています。世間で言われるほど「お寺」や「お坊さん」が社会にとって必要ないものではないことは、皆さんご承知のとおりです。
おてらおやつクラブがこれだけの速さで全国に広がったのは、確かに「信仰」が存在しているからです。「信仰」の力が未来をより良いものに変えていくと信じています。

 


おてらおやつクラブHP https://otera-oyatsu.club/